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zoom RSS 文学・大杉栄  6  本多敬

<<   作成日時 : 2011/01/26 20:33   >>

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隊長は続けた。「バベルの塔はもはやありません。そこは、いまや瓦礫の山です。ふくろうねこは、新しい塔をつくろう、と考え始めました。ふくろうねこは、大いなる宇宙の建築家になりたい、と思いました。人間たちは、整理し、表にし、地図を作ることばかり考えていましたが、これらが、バベルの塔の崩壊の原因となったのです。ふくろうねこは、気ままに歩きまわるのが大好きでしたから、新しい塔は、さまよう塔でなければなりません。さまよう塔には、壁も床もいりません。強い柱も必要ありません。正義と美と思いやり、つまり、星と花と風が、建物の柱となるからです。」

「正義と美と思いやり、星と花と風が、建物の柱となるのか・・・なんて素晴らしい世界なんだ」と、憲兵Dが言った。

隊長は話を続けた。「さすらいの賢者スピノザが、村人に語って聞かせました。人々は熱心に、ふくろうねこの伝説に耳をかたむけました。スピノザは言いました。ふくろうはな、ねこが悲しむ原因となったのじゃ。それは、ふくろうがねこの憎むものとなんらかの類似点があったからじゃ。たとえば、ねこはふくろうが話すふくろう言葉が外国語みたいで理解できなかったから、憎んだのじゃな。また、ねこが愛するものをふくろうがひとりじめしていたから、けんかが起きたのじゃ。ねこは空を飛ぶための羽をとても欲しかったのじゃが、ふくろうがひとりで所有していたのじゃ。村人は聞きました。ねえ、反対に、ねこは、ふくろうが悲しむ原因とならなかったの。スピノザは言いました。ふむ、ふくろうは、ねこが話すねこ言葉が外国語みたいで、さっぱり理解できなかったから、やはり憎んだのじゃ。ふくろうが愛するものをねこがひとりで所有していたから、けんかが起きたのじゃ。ふくろうはおしゃれなひげを欲しかったが、ねこがひとりで所有していたから、けんかがおきてしまったのじゃ。 こうして、ふくろうとねこは、お互いに相手が嫌がる悪いことをするようになったのじゃ。 そして、ふくろうとねこは、わしのところに相談しに来たというわけさ。村人は聞きました。結局、ふくろうとねこは仲直りできたの。ねえ、どうなっちゃたの。 」

憲兵達が皆、隊長の話に耳を傾けているうちに、車のエンジン音が止まり、目的地に到着する。

「隊長、目的地に到着致しました。」と、憲兵Bは言った。

「隊長の話が終わってからでいいじゃないか」と、憲兵Aは言った。

「馬鹿者!貴様、任務を忘れたのか!」

「逮捕、抑留、監禁、拷問、国外追放、逮捕、抑留、監禁・・・このようなことをいつまで続けなければならないのですか!」と、憲兵Aは言った。

,憲兵Dは帽子を隊長に差し出した。「我々はどうすべきなのですか?」

しかし、隊長は受け取らなかった。無言のまま、動かなかったーバベルの塔の永遠にうち捨てられた石の如く





文学・大杉栄

50隊長は話を続けた。「さすらいの賢者スピノザが、村人に語って聞かせました。人々は熱心に、ふくろうねこの伝説に耳をかたむけました。スピノザは言いました。ふくろうはな、ねこが悲しむ原因となったのじゃ。それは、ふくろうがねこの憎むものとなんらかの類似点があったからじゃ。

51・・例えば、ねこはふくろうが話すふくろう言葉が外国語みたいで理解できなかったから、憎んだのじゃな。又、ねこが愛するものをふくろうがひとりじめしていたから、けんかが起きたのじゃ。ねこは空を飛ぶための羽をとても欲しかったのじゃが、ふくろうがひとりで所有していたのじゃ

52村人は聞きました。結局、ふくろうとねこは仲直りできたの。ねえ、どうなっちゃたの。 」と、村人は聞きました。ねえ、反対に、ねこは、ふくろうが悲しむ原因とならなかったの。スピノザは言いました。

52・・ふむ、ふくろうは、ねこが話すねこ言葉が外国語みたいで、さっぱり理解できなかったから、やはり憎んだのじゃ。ふくろうが愛するものをねこがひとりで所有していたから、喧嘩が起きたのじゃ・・・

53・・ふくろうはおしゃれな髭を欲しかったが、ねこがひとりで所有していたから、喧嘩がおきてしまったのじゃ。 こうして、ふくろうとねこは、お互いに相手が嫌がる悪いことをするようになったのじゃ。 そして、ふくろうとねこは、わしのところに相談しに来たというわけさ・・・」。


54と、憲兵達が皆、隊長の話に耳を傾けているうちに、車のエンジン音が止まり、目的地に到着した。「隊長、目的地に到着致しました。」と、憲兵Bは報告した。それに対して、「隊長の話が終わってからでいいじゃないか」と、憲兵Aは言った。

55「馬鹿者!任務を忘れたのか!」。「逮捕、抑留、監禁、拷問、国外追放、逮捕、抑留、監禁・・・このようなことをいつまで続けなければならないのですか!」と、憲兵Aは言った。,憲兵Dは帽子を隊長に差し出した。「我々はどうすべきなのですか?」


56しかし、隊長は帽子に気がつかなかった。無言のまま、動かなかった ー バベルの塔の、砂漠に永遠にうち捨てられた石の如く


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