言葉と表現と射影のブログ

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zoom RSS ALSO SPRACH OWLCATO ふくろ・ねこー、かく語り き 2010十二月(後半)本多敬

<<   作成日時 : 2010/12/22 08:37   >>

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1哲学・思想


・ポストコロニアリズムの論客デクランカイバードからの覚醒の言葉。ジョイス「ユリシーズ」の舞台が図書館や病院、郵便局であることは意味があった、と指摘。英国植民地時代ですら、最低限の公共施設があった事をジョイスは記録として書き留めた。独立後、共和国はこれ以上の福祉を整備すべきだと


・「哲学と文学の違いは,哲学は公共的言語(ア・プリオリとか)によって説明するのに対し,文学は物語によって説明する点にある」。無神論者であったスピノザの場合、国際語のラテン語と幾何学の公共的言語で書いたし、物語によって説明もした。敢えて、哲学の舞台に「神」を導入し、想像力に働きかけた


・今朝BBCで、マリア妊娠の真相を物語るエピソードが流れた。ローマ兵との不倫で妊娠した?いやレイプで妊娠した?記録文章に基づく説を紹介した。民主主義の原則は、誰から生まれたかではなく、自分をどう築いたかだ。まさに原始キリスト教が実践した事だ。故に、女性の自己決定権も尊重して欲しい


・ゴダールの"X".としてのソーシアリズム。相互援助に基づく統整的理念を描く。歴史的に、ギリシャ民主制、フランス革命、バルセロナのアナーキズム、ロシア共産主義、反植民地主義の理念として機能した。ソーシアリズムとフェミニズム、この両者はゴダールにおいて、互いに切り離せない関係にある

・What is ring?ゴダールの環とは、三竦みの構造である。蛇はなめくじを恐れ、なめくじは蛙を恐れ、蛙は蛇を恐れる事。三者が互いに牽制し合って、各自が自由に動けない状態。マルクスとゴダールはこの三竦みの構造をソーシアリズムと看做した。では、蛇となめくじと蛙とは一体、なにか?

・What is ring?まず、「蛇」たる資本主義は、「なめくじ」の共同体と国家を恐れる。共同体は互酬性に基づき、又、国家は収奪と再分配によって、資本主義における貧富の格差を是正するから。しかし、共同体と国家が結託すると、ファシズム(例、ナチス、天皇制)をもたらす危険がある。


・What is ring?「なめくじ」たる国家は、「蛙」たる共同体と資本主義を恐れる。共同体は互酬性(例、ギャング、宗教運動)に基づき、又、資本主義は商品交換によって、国家の中央集権体制を崩壊させるから。世界大戦は、植民地収奪と国内の再分配という国がリードした帝国主義政策の結果

・What is ring?「蛙」たる共同体は、「蛇」たる資本主義と国家を恐れる。フランス革命の結果、資本主義は全てを商品交換の市場に変え、国家は官僚機械を発明して、共同体(例、教会、貴族)を破壊した。民衆のものである共有地を、ブルジョアジーが不当に横領した、とマルクスは抗議した


・構造主義は、自由意志を幻想とするスピノザ、フロイト、マルクスの思想を継承する。ロマン主義者ふくろねこーにとって、自由意志の問題は大事だが、リベラリズムと同様、あまりに19世紀的ブルジョア的表象なのだ。容赦なく加速化していく変換の諸体系(構造)に対しては、むしろ実存的に対峙すべきだ


・八十年代に、ジョイス文学はフランス語をはじめ各国の言葉に翻訳された結果、デリダのジョイスのテクスト解釈等、充実した文学批評が切り開かれた。八十年代のアメリカ人によるカントとヘーゲルの翻訳も重要だ。日本の知識人?は相変わらず、「アメリカ人だから・・・」という傲慢な言い方をしている


・アルジェリア出身のユダヤ人デリダは若い時から、反植民地闘争ナショナリズムや仏国同化政策の問題を考えてきた。文化的アイデンティティーと他者の問題です。晩年、運動を通して抵抗の正義を実践した。脱構築の思想は、支配を正義とみなす帝国主義的ナショナリズム、天皇主義とは、無関係である


・マグリッド・デュラスは少女時代にベトナムで過ごしたが、フランス人とはいえ、破産した植民者の生活は非常に惨めだった。暗い映画館は、自分の階級や人種を隠す有難い避難所だったと回想する。平等アプローチを描くロールズの思考実験である「無知のヴェール」は、このような暗い映画館といえよう

・現在リベラリストの問いは「正義とはなにか?」。他方、ハ十年代のリベラリストのなんともスマートな問いは、法とはなにか?だった。現在四十代の連中。若い時は見識も情熱もあったが、なにか虚ろだった。総評と日教組、反ー部落差別等の中間団体が存在し闘っていたから、何もする必要がなかった

・法に対して、正義は優先すべきだ」。ゴダール映画の最後の言葉だ。愚かにも、八十年代リベラリストは自由放任主義の言説を警戒しなかった。バブル期は大衆運動がなくとも、価値観を転倒させる闘いはあった。が、権威的モラルを破壊する代わりに、弁護士になって外車と大きな家を買う夢に心を奪われた?

・その「正議論」に物足りない点があるとすれば、マルクスの章が無いことだ。だから、階級対立の視点が働いていない。カントの定言命法を紹介するも、不十分なのだ。例えば、

・カントの定言命法は、義務の為の義務。義務の神聖化の側面をもつことを、フランクフルト学派は警告した。労働者達は「労働」を神聖化するあまり、団結ができなくなっている。サボタージュこそ、必要とされるのに、だ。(日本人なら痛いほど理解できるだろう)。定言命法は公共性の正義のモデルにはならないのではないか?

・ケインズ主義の二つの側面。(1)富の再分配を通して社会全体の購買力を拡大すること。(2)富者に富者にも貧者にも、公共性への接近(学校、病院、公園等)の機械を拡大していくこと。労働組合と左派の政党は前者を推し進めてきたが、サンデルは後者の意義を無視するなと説いている。一応妥当な結論だろう


・リベラリストの日本人はモダニスト。(全員そうだという事ではないが)。中間の社会の意義を評価しない。大抵、前近代的な社会だから。組合や大学や宗教団体とか。しかし、「遅れ」ゆえに、ラディカルな抵抗が起き、時に自由主義的な多元主義が機能することがある。文学は遅れの芸術!


・ケインズは労働組合を認めた上で、自由主義の支持を表明した。実際的側面が強調されるが、元々、知性主義の前衛芸術集団ブルームズベリーの会員で、バレーの劇場も建設した。私有財産制を擁護する理由として、芸術振興を指摘している。錬金術古書の偉大なコレクターだった,とは!?


・ジョイスは前衛モダニストのチャンピオンとされるが、常にケルトの神話的想像力と一体だったでし、最近の研究でゲール語の知識もかなりあったことが明らかになっている。ボヘミアンの中間達は過去に、貴族に共感を示した。世界の創造者としての新興勢力ブルジョアジーに反抗した


・遅れは他の可能性のことと思う。「権利」という漢字が通用しているが、法制史を研究している友人の話では、他の可能性があったとの事。江戸時代に蘭学者は「免理」、朱子学者は「正理」と言った。明治自由民権運動の影響下で「権理」の字が登場、「権利」と争いました。戦後、文部省が「権利」に統一してしまう。

・サンデル「正議論」の支持者のなかには、「権理」の字を使用したい者がいるはずだ。サンデルはアリストテレスは死んでいないと言う。同様に、英語のRight を「権理」と翻訳した自由民権運動の理念は無視できないだろう。正義に基づく権理が、要求されているから


・「通観妄想synoptic delusionこのようなアプローチから生まれる美しい計画に魅せられている人は全て、通観幻想の被害者であり、これらの計画の見せかけの明快さは計画者が自分の知らない事実をすべて捨象したからということを忘れている」

・ゴダール「アルファビル」のtokyoramaは、単純な計算式から成る社会。中央コンピュータはYesかNoの返事を期待した質問すると、レミーコーションは「宇宙の巨大な広がりが私を震撼させる」(パスカル)と答え、混乱させる作戦をとった

・スピノザによると、人間は想像しやすい物を「善」と看做し、複雑な物を「悪」ときめつけてしまう、と言う。人間の表象能力の限界から、そういう事が起きてしまうと警告した。計算能力と思考コストの話と関係アリか

・サティの世界。ジャン・ジュネのパレスチナをめぐる回想録の言葉、ゴダールは映画で引用している;言葉のあらゆるイメージを安全な場所に隠しておき、それを用いること。というのも、それらのイメージは砂漠にあり、そこに探しにいかなければならないから


・「外在性」は、外面的な関係、即ち、個人に還元不可能な他者(共同体)との関係、の意か。サンデルにとって、自由・平等の理念は外在的。「内在的」とした、ロールズの分析と対照的。

・リベラリズムのコンテクストからすると、個人における内在的な属性は、所有と共同体の根拠とはならない。所有と共同体は、外在的な属性から基礎づけられるからだ、とサンデルなら主張する
Pour Sandel, le contexte du libéralisme ne permet pas de juger la propriété et la communauté
à partir d'attributs intrinsèques à l'individu mais à partir d'attributs extrinsèques.

・ケインズは、労働組合を前提とした経済スケッチを描いた。ソーシアルリベラリズムの視野からすると、失業すら効用と看做す学問に「正義」が欠けていた。何故、生命や教育や言語から成る共同体への平等なアクセスを排除するのか?天皇主義と決別する為にも、外国人と同性愛者の平等な権利も尊重すべき



2言葉・表現・本



・[p・o・e・m] x [t・h・e・a・t・r・e]


Antonin Artaud of "La Passion de Jeanne d'Arc"

Artaud cried
because God were unknown persons.
Artaud talked calmly with his incomprehensible language along the well-organized syntax
because he was a priest.
Artaud refrained from whispering during work
because he wanted to embrace the universe filled with the dead's whispering when judging God.





屋敷と噴水について 物語る言葉
ワインと娼婦の間には  居酒屋の言葉
中庭と恋心には 愛らしい言葉
耳に心地よい 愛の言葉
アルノ川に沿って歌う言葉は 海まで
アメリカ大陸の砂浜まで
完璧で 寛大で 官能的な言葉
僕らの言葉 イタリア語

lingua che parla di palazzi e fontane
lingua d'osteria tra vino e puttane
lingua di grazia nelle corti e nell'amore
lingua che canta lungo l'Arno al mare
fino alla sabbia del continente americano
lingua ideale, generosa,sensuale
la nostra lingua italiana



・ロンドンで書いた詩をどうぞ。「わたし」は言葉の事。

はじまるのはテーブルから
椅子のときもある
靴だったかもしれない
でも戻って来てしまうのはここ
なにもうつらない鏡
崩壊の静寂さ
わたしはこの土地をさまよった
どこにもいた
けれども。わたしの土地はみつからなかった

It begins with table
It could be a chair
It could be shoes
But I always return
To this broken mirrors
tranquillity of decomposition

Wandering
Around
My land,
I can be anywhere in it
And still not be of it


「裁かれるジャンヌ・ダルク」のアントン・アルトー

アルトーは叫んだ!
何故なら、神は見知らぬ者だったから。
アルトーは静かに喋った!整った統辞法で意味不明な言葉で。
何故なら僧侶だったから。
アルトーは仕事中、私語をしなかった。
何故なら、神を裁く時、
死者達の私語で満ちた宇宙を抱擁したかったから


3 アート


・二年前「ザ・ガーディアン」紙の記事で、古代ギリシャにも今日の様な金融バブル崩壊が起きた結果、煩悶するギリシャ悲劇の喪失感の主題が現れ始めたと指摘していた。民主制とマーケットと演劇、この三つはどのように繋がっているのだろうか?興味深いテーマ。アドルノ的形而上学的否定+唯物論的肯定、という印象を持った


・日本人が思い描くイギリス人のステレオタイプ、もの静かに喋る、節操ある人達。彼らは成熟したモラリストなのか?冗談じゃない!英国国教会の厳格な行動規範に過ぎない。もの静かに喋る態度、この英国社会を蝕む抑圧を攻撃したのが、ギルバート&ジョージ(Gilbert and George)だ


・ボロックの絵といえば、テートモダンの学芸員からきいた話で、8歳以下の子供の眼からは、踊っている木の姿とか色々な具象がはっきり見えるそうだ。現代絵画を描くワークショップがあり、親子で参加する。私の印象だが、日本人は、映像から迫害されているのでは?


・西洋絵画は、表現の領域に満足する事はないようにみえる。ジオットとダンテ、ルネサンス前夜の巨匠。しかし、ケネス・クラークはダンテが上と言い。表と裏、天国と地獄、限界を超えてモラルの新しい領域を積極的に表現したからだ。日本画は西欧絵画のように表現の限界を挑むと、いたずらに形骸化する危険がある、と、ある日本画家は警告した。日本画は、その構成要素たる差別や死を描くべきと説いている



・はじまるのはテーブルから / 椅子のときもある / 靴だったかもしれない / でも戻って来てしまうのはここ、 / なにもうつらない鏡 /崩壊の静寂さ / わたしはこの土地を /さまよった / どこにもいた / けれども、わたしの土地はみつからなかった

・ロンドンで書いたこの英語詩を、facebookで公開したら、大勢のアメリカ人から反響があった。「私達の、この一年間の気持ちをぴったり表現している」というのだ。どうやら、オバマ支持者達であったX世代の落胆と喪失感の事らしい。日本の新聞が伝えるホワイトハウスのマッチョなイメージとは違う




4 映画・演劇



哀れな、ギリシャ
民主主義と悲劇は、ペリクレスとソポクレスのもと、
アテネで結婚した。
ただ一人の子供は、内戦である

Hellas/Démocratie et tragédie ont été marieés à Athènes /Sous Périclès et Sophocle/Un seul enfant la guerre civile哀れな、ギリシャよ(ゴダール、映画ソーシアリズム)


産業革命を経た国は圧倒的少数派だ。大半の国は政治的に「独立」しても、経済的に旧宗主国に依存し続けなければならない。内戦はここで起きる。即ち、愛国的な解放の神話をかざしながら、嘗ての支配者と繋がり、同じ位置から、民衆を搾取するエスタブリッシュメント、そして民衆の側の抵抗である。
内戦はもっと日常的なものになっている。国境を自由に超える国際資本は国家間の敵対心を煽る(例、日本と中国)。愚かにも、日本人は国際資本に祈願をかける。領土問題は内戦の一種だ。米国軍人がアジアの地図を眺める態度のようだ。国家権力の暴力たる死刑制度に対して、反証の精神が眠り込んでいる



・ゴダール新作のポイント;1、ヨーロッパは開かれた問いだ。ヌーヴェルバーガー達が映画を「開かれた問い」としたように。2、ヨーロッパは、人類解放のユートピア、「政治のヨーロッパ」として蘇るべきだ3、人類解放のユートピアは現在、被占領地帯にある。連帯し、米国と国際資本の支配を打ち倒せ


Europe is dead.Ok, but which Europe? ヨーロッパは死んだ!?そうだとしても、死んだのは、果たしてどのヨーロッパなのかしら?ゴダール「映画ソーシアリズム」は、このジジェクのコメントを思い起こさせる
Utopia as it may appear, the space is still open for another Europe;a re-politicized Europe, founded on a shared emancipatory project;

ヨーロッパは終りか?否、他のヨーロッパになるだろう。人類解放に向かって政治のヨーロッパが蘇るthe Europe that gave birth to ancient Greek democracy, to the French and October Revolutions
ヨーロッパから、ギリシャの民主主義が誕生した。フランス革命、十月のロシア革命に至るまで、民主主義はヨーロッパにおいて発展した。

This is why one should avoid the temptation to react to the ongoing financial crisis with a retreat to fully sovereign nation-states,
民主主義=ヨーロッパの歴史の重みからすれば、現在進行中の財政危機を安易に、一国の問題として片づけることはできない
easy prey for free-floating international capital, which can play one state against the other国境を超える国際資本は、国家間の敵対心を煽るだけ(日本と中国)。国際資本に祈る愚かな国民よ

・ユートピアの旅ー失われた公理を求めて。ポンピドゥーのゴダール展が発見したのは、シュールレアリストとして、至る所微分不可能な全体像だ。映画ソーシアリズムの公理は?

公理1 ヨーロッパは開かれた問いだthe opened quetion

公理2 ホームレスとなったヨーロッパに反抗させよ



・機械仕掛けの紋切り型が再び作動し始めた。朝日新聞の飾り窓、"素粒子"の事大主義。アムステルダムの売春宿ですら、あの手の露骨な客寄せをしないものだ。今度は、ゴダール新作を前衛的と称賛した。鈍感の極み!ゆっくりと流れる映像をそのまま感じて欲しい。映画の避難所、私達の休息の場所だから



・東京演劇アンサンブルの「銀河鉄道の夜」の舞台を観劇した。「鉄道」に抗議するガンジー、彼の言葉を思い出した。世界大戦を引き起こした帝国主義は、過剰資本を海外に輸出するシステムで、鉄道は重要な役割を果たした(例、満州鉄道)。これに対して、宮沢賢治はユートピアである銀河鉄道を構想した。
宮沢賢治の場合、「空間の空間」がユートピアであるならば、「鉄道の鉄道」は抵抗を象徴したはずだ。今夜ブレヒト小屋で上演された、東京演劇アンサンブルの「銀河鉄道の夜」はまさしく、そういう抵抗を表現していた。次に、ポール・ヴァレリーの、言葉と贈与と友情をうたった詩を思い浮かべた・・・
ナレーター役の志賀さんの語り。贈与と詩人が呼んだ友情を喚起する。/ことばが 崩壊し/だれかから だれへの、/存在のなにかに かかわる、/贈与でなくなってしまうとき/崩壊するのは、ひとびとの友情だ(ヴァレリー)。つまり、人間は情報の客体ではなく、コミュニケーションの主体である!


・グー;批評とはなにか?批評は、マルクスの場合、哲学の外見で公共的言語によって説明するも、数学の如く形式的言語で記述しない。批評を書くことは、文学の様に、ドイツ語等の地域の言語で書くことを意味する。

・チョキ;批評とはなにか?批評は、ゴダール映画の場合、文学の外見で物語によって説明するも、彼の母語たるSwiss French、地域の言語に全面的に依存することは生じない。どんな国の人で読むことができる、サイレント映画に顕著な、映像の形式的な言語を使用する。

・パー;ゴダールの場合、批評を書くとは、映像の編集を意味する。はっきり言ってしまおう。批評を書くとは、「エクリチュール」とデリダが呼んだ「書く行為」と同義語なのだ。だから、日本では、大きなゴダール人気にもかかわらず、ゴダールもどきの映画が一本も登場しない決定的な理由がここにある

・もう一回、チョキ;映像批評の言葉は果たして可能か?/はじまるのはテーブルから/椅子のときもある/靴だったかもしれない/でも戻って来てしまうのはここ/なにもうつらない鏡/崩壊の静寂さ/言葉はこの土地をさまよった/どこにもいた/けれどもわたしの土地、わたしの映像はみつからなかった


・グラッドストーンの功績、アイルランド国教会廃止法、アイルランド土地法改正、ディズレーリの帝国主義政策批判。しかし、イギリスの体制にとって一番危険だったのは、「あらゆる会話を議論に変えてしまう」方法、節制あるマナーの破壊だった。ゴダール「中国女」を喚起する!



・島の若い女性達は、岩の上で何かに憑かれたようににじっと佇んでいる痩せて顔色の悪いアルトーを、時を忘れて興味深々に眺めた。岩だらけのアラン島は神話の世界では死者の家とされた。彼は大きな石の上に座し、呪文を唱えながら長い間瞑想に耽った。

 ko embach
 tu ur ja bella
 ur jr bella
 kou embach

 大西洋から島を横切り大陸へと向かう雄壮な雲は疾走する馬。台座である石の周りをぐるぐると回った。カモメが二、三羽、地に舞い降りた。小さな水溜まりが女達の陽気な笑い声で一瞬震えた 

 と、その瞬間アルトーは深遠の淵から我に帰り、女達に奪われた聖人パトリックの杖を取り返そうと躍起になった。人妻を追いかけ回すアルトーの不道徳な姿にびっくり仰天し、激しい叱責の言葉を浴びせかける者もいて、村中大変な騒ぎとなった。

 着た切りのアルトーに同情した村人から貰い受けた帽子と服を身につけた。首都ダブリンへ向かった。既に重い麻薬中毒と肛門ガンの鎮静剤長期服用のせいで相当に消耗しており、ダブリンの路上でホームレスの生活を送っている間に警官と争い、不覚にも大切な「杖」をどこかに置き忘れてしまった。この杖の代わりになるものを探し求めて、彼は再びダニーブルック界隈を彷徨した 


5 自然



6 音楽


7 東京


・一九八九年は、ベルリン壁崩壊の年、昭和天皇裕仁の死の年。公害裁判を支援する三ヶ月間の座り込みを続けていた新橋で、カネヤンに出会った。大阪の釜ヶ崎から駆けつけてきた、軽度の脳障害がある日雇い労働者。元気なときは、花園大学の図書館で本を読む。日本仏教と社会主義の関係にうんちくがあった

・マダム・ボヴァリーの国の私達。新聞やテレビのニュースは、戦争、孤独な死者、悲しい話しか伝えなくなった。日本の読者は戦争の惨事に恐怖を覚え、連帯なき社会の孤独に心を痛めても、しばらくすると、大したことではないのだと感じ始める。こうして、ニュース商品から、もっともっと強い刺激を欲求する


・「エミール」は冒頭で「自己愛」の大切な意義を説くとき、全体主義の教祖ルソーを思い浮かべる事はできない。質問がない事について、以前話し合った。そういう意味で、日本全体が、党派性の巨大な島になってしまったと思わざるを得ない

・石原都知事は、規制する漫画家達を、変質者、DNAの異常者と非難した。劣等人種とマーキングしたナチスのユダヤ人差別と同じ攻撃だ。許せない事に、朝日新聞はコメントなしで、そのまま掲載している。私達には、石原と新聞に対して質問する機会が与えられていない!

・書いた手だけが消すことができる!リベラルな人は,非伝統的・非常識的な手段を取るからこそ、文化的目標を持つ。一方、石原の支持者、惰性でしか生きない人々は,もともとリベラルな人が書いた伝統的・常識的なタブローを搾取するだけ。文化的目標も、外部との接触で豊かになる文化も、拒絶する人々

・ベケット「クラップスのラストテープ」で、アイルランドのウィクロー山の描写がある。訪ねると、数々のプロテスタント教会がうち捨てられている。ドアの前に「売り出し」の立て札がかかる。人間が来なくなれば宗教は意味がない。永遠の家は存在しない。君が代をおしつけても永遠の国になる訳じゃない


・ナショナリズムの問題は開かれた問いだ。今日「私」と言う為には、「私達」と言わなければならない。厄介なのは、下劣な連中が「私達」と声高に叫ぶ事だ。質の高さと論理性は欠かせないが、開かれた問いは、沖縄、被占領地帯にあることも忘れてはならない。国際資本が国家間の敵対心を煽るなかで、だ



8 外国


・ロンドン滞在中、バレンボイムはベートーベンのピアノ曲全曲を演奏した。何故イスラエルでワグナーを指揮するのか?見よ!私は、自分達を絶滅せんとしたドイツ人の芸術を愛している!私達は、敵としているパレスチナ人を受け入れる方がずっとたやすいはずだ!政治的に発言するロマン主義芸術家の戦略

・詩人ブレイクの散歩道、テムズ河沿いのサウスバンク。怒れる虎を見た(フーコは見世物小屋の狂人?だったと指摘)。浅田彰の助言;国の財政的援助の恩恵で芸術空間に変貌し、世界中の観光客を惹きつけている。本当だ。ただ、財源は国の宝籤で、労働者階級に対する事実上の増税という批判の声もあるが


・Hanukah、ハヌカーはユダヤ教の祭り。ロンドン滞在中、ユダヤ人住民が多数派の街に住んでいたが、毎年、木の形をした緑色の不思議なシンボルが駅前に建った。起源と由来は知らないが、クリスマスツリーに対抗していた!?ユダヤ人と過ごす12月24日、25日は、普通のなんでもない日なのだ

・ダブリンに来たジャンヌ・モロー、祖母がアイリッシュと言っていた。コメディー・フランセーズの役者ジャンヌはブニエル映画でデビューした。当時衣装係はジャンヌを醜い女性と考えて全身を洋服で隠そうとした、とか。実際はなんでもないのに、いつもデュラスからは、「あなた、苦しんでいるんでしょう」と同情された。憂鬱な表情が実存的で、50年代の観客に受けた

・世界、朝日新聞、読売新聞が提携する英国新聞、The Guardian紙。マンチェスター時代にエンゲルスが育成した。インターネット掲示板に、読者の意見欄あり。識者の論文に対して、(質問を含めた)意見交換を行う。意見欄の管理人は定期的に、新聞社のホールで、市民参加の公開討論を組織する

・信じられない事に、ロンドンにいたときは毎年12月30日まで、二時間5ポンドの市営のコートを借りて、テニスやっていた。非常に寒かったけど、肉食っていたから、エネルギーの余剰があった。あのパワーは、立ち食い寿司からはうまれない。イギリス人に負けてたまるか、という憂さ晴らしもあった。


・人格をモノとして還元する表現は暴力です。ジョイスは小説の中で、当時アイリッシュが白人奴隷として南米に運搬されていた事を伝えている。進歩的リベラルの論客達の中には、抑圧世界から外部世界へ脱出する機会と言う者がいたが、大変驚いた。「ダブリナー」中の「Eveline」は、恋人の船乗りにしたがって家出する事を決められない女性。ルークギボンズやデビットノリス等、リベラルな論客達は、南米でリスクはあるが脱出すべきだと主張。勿論、英国で社会問題となっている、ギャングによる白人奴隷の商売とは違うケース


・イギリス人はpolitical landscape(政治風景。選択の意)が狭くなったと、保守党の分身に堕落した労働党に怒った。一年半前の帰国時、日本の二大政党制の方向に大きな疑問をもった


・イギリスで起きていることを、日本に置き換えて考えてみると。Political landscape;民主は失策しても、自民が腐敗する限り、自民の政策を盗めば自民支持票を奪う事が可能だ。、結果的に民主=自民となり得る。まBritishness;日本人の位置と機能を炸裂させるために、「ふくろーねこの人々」となるべき


9  身体 


・見知らぬ者を目撃したら叫べ!「都市ロンドンの自叙伝」によると、叫ぶ事は元々、共同体の、外敵を排除するルールだったそうだ。ハリウッド女優みたいに、見知らぬ者を目撃したら叫べ!但し、共同体の中では、僧侶の如く静かに喋れ!もう一つ付加えたい抑圧的モラルがある;仕事中、私語をするな!だ


10 落書き・無用なもの・未定義なもの

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